おしんこ盛り合わせのサラダボウル

中国を愛しすぎてる日本語教師おしんこが異文化で奮闘するブログ

「新世界より」をみました。

帰国の準備をしながら「新世界より」というアニメを見ていました。
ドヴォルザークの曲じゃないけど、作中なんどもその曲が流れてる。ドヴォルザークの曲は「新世界より、故郷へ」だけど、この話は「新世界より、未来へ(過去へ)」って感じかな。

全25話あるのに1日で20話も見てしまいました。
んっ?
1話30分として10時間!?
それってほとんど帰国の準備してないじゃないですか!?自分が怖い………


新世界より」はもともと小説で、主人公が12歳、14歳、26歳時の話を描いた、なかなか壮大なストーリーです。
んで、この先どうしてもネタバレをしないとこの話先に進めないので、これから見る予定の方はちょっと気をつけてください。
この話を語るに当たって最終話のエピローグで語られる超重要なネタバレをしないとならないので。
ちなみにおしんこは漫画版の最終回を読んだことがきっかけでこのアニメを見ることにしたというクソ邪道な人間です。


重要なネタバレだからちょっとスクロール。







これは今から1000年くらい未来、人間が超能力(サイコキネシス)を獲得した時代が舞台の話です。
日本には人口1万くらいの集落が10くらいしかなくて、超能力のことを除けば古代が舞台かな?と見間違いそうな街や服装。文明は退化している様子。

高度に文明化した生物で、人間の他に「バケネズミ」というのがいて、バケネズミたちは言葉とかも話せるんだけど、超能力が使えないので人間のことを「神様」と呼んで服従している。人間はバケネズミたちに自治権を与えていて、別々に暮らしています。

んで、サイコキネシスを使うと人間が簡単にほかの人を殺せちゃうので、それを阻止するため、人間には同族に危害を加えようとすると自分も死ぬという機構が備わっています。
遺伝子操作で先天的に作ったものを暗示とかで強化してるみたい。

学校では、出来損ないの子、大量殺人者になる可能性があるサイコパスな感じの子、超能力がコントロールできなくなって、その子が存在するだけで周りの人が死ぬみたいな子が、ときどき消えて行くけれど、子供達の記憶も操作されてるからみんなあんまり気にしてない。

基本の設定説明するだけでも大変だな。
その中で、主人公たちが成長するごとに血塗られた歴史を知っていくというストーリーです。
ちょっとあらすじ説明。

主人公たち5人グループはいつも一緒に遊んでいるという幸せな幼少期から物語はスタート。
あるときそのうちひとりの男の子が「処分」されてしまう。
その後主人公たちは記憶を操作され、もう一人大事な友達がいたということまでは思い出せたけど、名前や顔は思い出せなかった。
そこで主人公たちは「出来損ないは処分されて記憶も消される」ということを知る。
そのあと、またもう一人の男の子が危うく処分されそうになり、恋人の女の子を伴って街を去る。

10年後、バケネズミたちが人間の服従から脱却しようと人間に戦争を仕掛ける。
戦争の中、超能力で人が大量に殺されていくんだけど、バケネズミは超能力が使えないはずだし、人間は街にしっかり管理されてるから誰もバケネズミの味方をしてないことがわかってるし(いなくなった二人は歯型とDNAで遺体が確認されてるし)、人間を殺そうとしたら自分が死んじゃうから不可能。
おかしいな、と思っていたら、10年前街を去った二人の「子供」がやっていたことだった。
子供はバケネズミに教育されて、人間を殺しても同族とは認識しないからいくら殺しても自分が死ぬことはない。逆に普通の人間の方はその子を殺そうとすると同族と認識して能力にブレーキがかかるから殺せなくて、一方的大虐殺にされるがまま状態になっちゃう。

主人公はなんとかして敵を倒し、物語はハッピーエンド、なんだけれど。

最後にとんでもない爆弾が控えている。

人間が「超能力で人を殺すことを制限する仕組み」を作ったとき、超能力を持っていない人間は、超能力を持っている人間を自由に殺すことができてしまうことが問題だったから、
超能力を持っていない人間にネズミの遺伝子を混ぜ、醜いバケネズミを作った。
バケネズミは醜いから、殺しても同族と認識することはない、自由に殺せる。

バケネズミの将軍は最後に「わたしは人間だ!」と叫ぶ。人間たちはみんなそれを笑ったけれど、彼は本当のことを知っていたんだ。
人間がどれほど恐ろしいことをしてきたかということを。

物語中で醜い敵と表現されていたのは実は、人間だった、しかも、超能力を持った人間が自分の優位性を保持したいがため利己的に遺伝子操作をしたということ。

超能力を持ってない人間って、つまりは今生きている私たちすべての人間ってことだよね。

うわあ…。
これがディストピアってやつかぁ…。

物語の舞台設定は遥か未来なのに、街や文明のレベルが古代だというのも見どころで、
この人間とバケネズミの構図はすなわち、かつていた神と人間との構図と同じなのでは?
これは何千年もの昔本当にあった物語なのでは?と思わせる。
過去と未来が絡み合っているような不思議な感覚。
手塚治虫の「火の鳥」にもあったよね、未来編と過去編が繋がってる〜みたいなの。

それに大人は子供たちを処分してもいいというのはなかなか興味深い発想です。
事前に犯罪を犯す可能性がある人間を消す、というのはアニメサイコパス」と似ている感じかな。
平和のためには仕方ないこと、ではあるのだろうけれど、子供を教育するとか薬をつくるとかじゃなくて殺すっていうのがクソ後ろ向きの発想ですよね。
人権は17歳までない、と街の偉い人が言うシーンがあるんだけど、17歳までないってすごいよね。日本の学園ものアニメとこの作品をオーバーラップしてみると大変なことになる。楽しくしてるように見えるけど生きるか死ぬかやで。
そのことが子供たちにバレ、状況が少しずつドロドロとしていくのも見ものですね。

なかなか面白い、考えさせられるお話でした。
まあ物語自体はなかなか、ご都合主義的なところもあるけれど。
主人公の声優が種田理沙なのもイイっすね〜〜!

ああっ!やばい、スーツケースが小さすぎて荷物が入りきらない。大丈夫かなあ。
飛行機怖いなあ…。大丈夫よね、大丈夫よね!!!?