中国の将棋(象棋)完全保存版
今日は以前からまとめるまとめると言っていた中国の将棋のルールを紹介します。
ちなみに、全然関係ない方向に駒を動かした場合(仮に兵卒を動かしてみました)
中国の将棋は正しくは「象棋」といい、「象が出て来る」のが特徴です(後述)。
囲碁はほとんど日本にあるものと変わりませんが、将棋はまったく違うルール。
日本の将棋よりシンプルです。
路上でオジサンたちが時々遊んでいるのを見ます。
モチーフは「項羽と劉邦」!
- まずは盤面の紹介。
まず日本の将棋と違うところは、
・縦横の線の交差に駒を置く
・自分の陣地と相手の陣地の間に「川(楚河)」があり、川の先へ行けない駒がある
・「大本営」があり(後述)、王とその側近に当たる駒はそこから出られない
・また、自軍の駒と相手の駒は文字の色で区別されており、「取った相手の駒を使える」ということはない。
・相手陣地に入ることで動きが変わる駒はない(兵卒は除く)
・どうでもいいことだけど、駒が丸。笑
- 次に駒の紹介。
①「兵」あるいは「卒」
日本の将棋で言う「歩」に当たる駒。
基本的に前にひとマスずつしか進めません。「川」を渡って相手陣地に進むと、横にもひとマスずつ進めるようになります。ただし後ろには戻れません。兵卒の悲しさよ。
②「帥」あるいは「将」の駒。
日本の「王」あるいは「玉」にあたる駒です。
説明するまでもなさそうですが、この駒を取られると負けです。
前後左右にひとマスずつ動けますが、「大本営」の中から出られません。
大本営はこの斜めの線がある四角のエリア↑
この外に出られないことを利用して追い詰める王手もたくさんあります。
ちなみに王手は「将死(ジャンスー)」といいます。
あと「大本営」は便宜上わたしが勝手に呼んでるだけで本当は「九宮」という名前があります。
③「士」
王の側近。
日本の将棋で言えば「金」「銀」ですが動きはかなり違います。
④「象」あるいは「相」
象。「相」の字は読み方が同じということで用いられています。
斜めにひとマスおきに動きます。
ただし、進行方向に邪魔な駒があると先に進めません。
また、「象は川を渡れない」ため、相手陣地に入ることができません。
守りの駒です。
正直なんのためにあるのかわからん…
⑤「馬」
日本の桂馬ポジション。
ただし、日本の桂馬と違い、2×1の範囲なら、どこでも進めます。
どういうことかというと、
こういうこと。
ただし、進行方向に邪魔な駒があると進めません。
この時、進行方向とは、「2マス進む方向」の意味。
⑥「車」
ポジションは日本の将棋で言う「香車」。動きは「飛車」。
縦にも横にも自由に動けます。
最強っぽい。
⑦「炮」(パオ)
大砲みたいな意味の駒。これはちょっと動きが複雑です。
基本的には、縦横自由に動けます。
ただし、直接進行方向にある駒は取れません。
大砲なので(?)、一つの駒を飛ばしてその先にある駒が取れます。
こういうこと。
これが全ての駒です。
飛車?角?ないです!
- 並べ方はこう↓
王(将)以外は、左右対称になっており、前線は兵卒。飛車角の位置には「炮」があります。
日本の将棋と似てますね。
あと、両方の王の間に駒がなくなる動かし方はできません。
この場合、黒は、「士」の駒を動かすことはできません。
炮で王手。
「将」の駒は、上下左右に動けますが、
「炮」の効果範囲は「一つの駒を飛ばして次の駒を取れる」なので、黄緑方向に逃げても無意味です。
ピンク方向には兵卒がいて、兵卒は相手陣地で横に進むことができますから逃げられません。
また青方向は「大本営」から出てしまうことになるので逃げられません。
黒の兵卒が炮を取れそうですが、兵卒は自陣側に戻れないので取ることができません。
馬が斜め左下に動いて、赤は詰んでしまいます。
先述のとおり、「炮」の効果範囲は距離が関係なく、間に駒があればそれを飛び越えて取れるので、青方向に逃げても無意味です。
また緑方向に逃げても兵卒がいるので逃げられません。
- まとめ
自軍の外に行ける駒が少なく、攻められる駒は「炮」「車」「馬」「兵」しかありません。
取った駒は使えなくなるので、攻める駒が少ないことと合わせて、ルールは非常にシンプルです。
学生に日本の将棋のルールを教えたら、「取った駒を使えるなら永遠に終わらないではないですか!?」と言われました。
その発想、確かに。笑
王手をいくつか紹介したら納得してましたが。
また、日本の将棋では、強い人が「飛車角落ち」とかしてくれる場合があるですが、この中国版の将棋、「何かの駒を外すと、どんなに強い人でも勝てなくなる」という哲学(?)があるそうです。
まぁ、攻められる駒が兵卒を合わせて4種類しかないので、確かに。
まぁ、車、二つあるので(?)
王と側近の可動域が非常に狭いのも印象的です。学生に日本の将棋を教えて、実際遊んでみた時、わたしが囲いを作ろうと王を寄せてるのをみて、学生は「えっ?王動かすんですか?なにそれ?」ってリアクションを示していました。
それに、「項羽と劉邦」がモチーフになっているというのも、面白いです。
「将」と「帥」のどっちがどっちか決まってるんですが、忘れた(すみません…)。
日本で中国の将棋をやるチャンスはなかなかなさそうですが(笑)、みなさんの心に雑学が刻めたら幸いです。
中国人と知り合ったら、このページを思い出して、ぜひ一緒に中国の将棋(象棋)をやってみてください(中国人でもできない人はたくさんいますが…)。
この記事書くのかなり大変だったんですけど(特に詰将棋のとこ)、気が向いたらまた書こうかなと思います。
ではさらば。